『すみれの花束をつけたベルト・モリゾ』 作者:エドゥアール・マネ
ベルト・モリゾ(Berthe Morisot、1841年1月14日 – 1895年3月2日)は、マネの絵画のモデルとしても知られる、19世紀印象派の女性画家。
【概要】
高級官僚の子として生まれたベルト・モリゾ。二歳年上の姉エドマと共にカミーユ・コローを師事し、画家の道を歩み始めた。姉妹揃ってサロンに入選するなど画才を発揮していたが、姉のエドマは結婚を機に画家としての活動を諦めている。
ベルトは順調に制作を続け、印象派の記念すべき第一回展に参加している。また同年にマネの弟ウジェーヌと結婚した。これを機にモネやルノワールなどとも親交を深め、印象派展に8回中7回参加するなど印象派の中心的な人物となっていく。
経済的な安定と才能ある人々に恵まれたベルトの画家人生は順風満帆に見えるが、実際のところはそうではなかったようだ。 彼女は制作の際に非常に苦心していたようで、姉エドマに手紙で「(自らの作品が)多くの悲しみと多くのトラブルの原因になっている」と綴っていた。当時の印象派たちは「五人ないし六人の気狂いによって結成された」と評されていたが、その一人がベルトであった。このような美術界からの軽蔑も彼女の精神に影響していたであろう。
ベルトは54歳の時に肺炎のため死去したが、生涯彼女は正当な評価を受けることはなかった。その後、彼女が認められるのは第二次世界大戦後のことであった。
【絵画データ】
1872年作
油彩・カンヴァス
56cm×45cm
収蔵場所 オルセー美術館(フランス・パリ)
1874年の第一回印象派展に出品され、モリゾの記念すべきデビュー作となった一枚。揺り籠に揺られる赤子とそれを温かく見守る母が描かれているが、非常に女性ならではのテーマである。モデルとなったのは姉のエドマとその2番目の子供である。作品は印象派よろしく、細かな部分の描写を省き、軽快なタッチでより印象的な雰囲気を表現しようとしている。