歌川広重の『即興かげぼしづくし』 5作品

歌川広重の連作「即興かげぼしづくし」の作品5種を紹介します。障子を利用した宴会芸を題材にして、ユーモアたっぷりに考えられた影絵とそれを行う陽気な人々は必見です。障子が一枚一枚違うのにも注目してみてください。

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『根上りのまつ 梅に鶯』笠を使った松の木は、足元が影でも人間の雰囲気が出ています。梅に鶯は、見事な影で、花札にある梅に鶯そっくりです。

 

 

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『うさぎ 鉢植の福寿草』

うさぎは、簡単ながら完成度が高い影です。曲げた腕の隙間が兎の眼に見えるのも上手いですね。福寿草は、別名、元日草と呼ばれる花で、黄色い花を咲かせます。江戸時代より園芸品種として色々な書物に登場する人気の花です。

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『入りふね 茶わんちゃ臺』

入りふねは、アクロバティックでありながら見事な影です。帆を畳み、手漕ぎで港に入っていく様まで忠実に再現されています。茶わんちゃ臺は、茶の湯が流行した江戸時代では馴染みの題材だったと考えられます。

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『ふじの山 らんかんぎぼし』

ふじの山は、山頂を部分的に模写してますが、雪の積もった部分と麓の白黒を反転させており、細かなアイデアが光ります。らんかんぎぼしは、橋の欄干の端を影にしたものです。江戸庶民なら日本橋あたりを連想するのでしょう。

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タイトルがはっきりしませんが、題材は鶴と猫だと思われます。鶴の方は腕をクイッと曲げていますが、現代でも手でやる影絵の定番ですね。猫の方は耳と顔つきで分かるシンプルなものです。


他にも数種類あるようですが、ネット上で拾えるものはこれぐらいです。書籍などで他の作品も探せたら追加したいと思います。

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