【写真】沈没するアンドレア・ドリア号【ピューリッツァー賞】

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ハリー・A・トラスク(ボストン・トラベラー) ”沈没するアンドレア・ドリア号(Andrea Doria Sinks)” 1957年

1956年7月25日、マサチューセッツ州沖合のナンタケット島周辺を航海していたアンドレア・ドリア号が向かってくる船と衝突した。衝突した船はストックホルム号であり、お互いが接近していることに気付いていなかった。このナンタケット島周辺は突然霧に包まれることがあり、舟の事故が多い海域であった。当日も霧に覆われて視界不良の中で航海していた2隻の船だったが、レーダーによりお互いの位置を把握しており、両船の操縦士たちは互いの進路はそれたと思い込んでいた。しかし、何かの異常事態により船同士は急接近し衝突してしまったのである。
衝突したアンドレア・ドリア号の船体側面には12メートルに渡る亀裂が走り、数分で900t以上の海水が流れ込んできた。船体は急激に傾きゆっくりと海に沈んで行った。この事故で1640名の乗客は救助されたが、52名の行方は分からないままであった。
カメラマンのハリー・トラストは事故の一報を受け、現場に向かった。しかし報道陣用のヘリに乗り遅れ、急きょ自分で雇ったヘリに乗り込んだ。トラストが現場に向かった時、他の取材陣は撮影を終え陸へと向かっているところだった。出遅れたトラストは沈みゆくアンドレア・ドリア号にカメラを向け、粘り強く撮影を続けることでアンドレア・ドリア号の最後の姿を写真に収めることに成功した。

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