『聖愛と俗愛』 ティツィアーノ

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『聖愛と俗愛』 作者:ティツィアーノ・ヴェチェッリオ

【絵画データ】
1514年作
油彩・カンヴァス
118cm×279cm
収蔵場所 ボルゲーゼ美術館(イタリア・ローマ)

 


1514年にラウラ・バガロットの結婚に際して描かれた作品。1693年までは題名が与えられていなかった。その為、以前の作品目録には『虚飾美と簡素美』と書かれていたが、現在になってもこの呼称の意味について議論が続いている。作品自体は、細かく対照的に描かれており、主要な部分はやはり2人の女性である。2人の間にはキューピットが描かれていることから恋愛に対する題材だということが分かる。
女性はそれぞれ座り方や衣装に相違が見られ、互いに様々な暗示が隠されている。左の女性は地上にしっかりと腰を下ろし衣装も俗世的で装飾的である。それに対して右の女性は宙から舞い降りたように衣装がなびき、格好も人間より通例の神の描き方に近い。この女性の間でキューピットが井戸をかき混ぜることから、地の愛の象徴と天の愛の象徴が調和していることが読み取れる。これはまさに結婚するバガロットに対してのメッセージなのである。

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