【近代建築三大巨匠】フランク・ロイド・ライト【建築家】

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フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright、1867年6月8日 – 1959年4月9日)

アメリカの建築家。アメリカ大陸で多くの建築作品があり、日本にも帝国ホテルなどいくつか作品を残している。世界一有名な住宅である「落水荘」を設計したことで有名である。



【経歴】
ウィスコンシン州で生まれ、ウィスコンシン大学マディソン校土木科を中途退学した後に、シカゴへ移り住む。建築家のジョセフ・ライアン・シルスビーの事務所で働き始めるが、1年後にはアドラー=サリヴァン事務所へ移る。7年後に退所し、自らの事務所を設立した。
アドラー=サリヴァン事務所を退所するきっかけは、サリヴァンに内緒でアルバイトの住宅設計を行っていた為にサリヴァンから咎められたからであるが、ライト自身はサリヴァンを尊敬しており「愛する師匠」と語っている。

 

【プレイリースタイル】
ライトの設計した住宅はプレイリースタイル(草原様式)として知られ、現在も住宅の模範として利用されることがよくある。プレイリースタイルとはアメリカの広大な土地に適した設計として以下のような特徴がある
(1)地を這うような安定したデザイン
アメリカの郊外の十分な敷地に対して広く内部空間を計画し、低層でゆとりのある設計にする。内部は部屋同士が完全に区切られることなく緩やかに繋がっている。外観は高さを抑えることで周辺の建物や木々などの自然と調和する建築を目指している。

(2)水平線を意識したデザイン
勾配屋根の軒を大きく伸ばし、屋根勾配を抑えて水平に近くしている。また開口を水平に伸びる連続窓を用いるなど水平線を強調したデザインになっている。水平に伸びるデザインは平原(プレイリー)を表現している。

 

【帝国ホテル】
当時、プレイリースタイルで有名になったライトであるが、人気は衰退し不倫事件などでアメリカ国内で非難された。数々のスキャンダルを抱える中、日本の帝国ホテル新館の設計依頼が舞い込む。1913年、帝国ホテル新館の設計のため来日したが、工期が大幅に遅れ、ホテルの建設を弟子の遠藤新に託し、完成を見る前にアメリカへ帰国することになる。その後1923年に完成する。
帝国ホテル新館(現:旧帝国ホテル本館)はライト様式と日本的な要素の融合と言える。外観はライトの特異な煉瓦造を大谷石で再現し、シンメトリーの正面玄関とその手前にある噴水の池は平等院鳳凰堂をモチーフにしている。また耐震的にも配慮されており、完成後の1923年に関東大震災にあうがほぼ無傷であった。

 

【落水荘】
ペンシルベニア州のピッツバーグ近郊に計画された住宅。施主はアメリカのデパート「カウフマンズ」のオーナのカウフマンである。自然豊かな敷地には小さな滝が流れており、この滝と一体となった建築で高い評価を得ている。それまでは住宅街などで多く設計されていたプレイリースタイルの建築を自然の真っ只中で実現し、ライトの得意とした自然との調和が最も完成された作品とも言える。この作品で多用されたキャンチレバー(片持ち梁)はプレイリースタイルの発展形として「ユーソニアン・ハウス」と名付けられ新たな建設方法として広まった。またライトが25年間の低迷期から脱し、建築界の第一線に戻るきっかけになった作品でもある。

 

【ユーソニアン・ハウス】
ユーソニアンとはライトが落水荘により実現し、その後一連の住宅で試された建設方法。アメリカの平均的な所得者に向けて安価でより高い質の建築を供給しようとする考えである。プレイリースタイルの手法を継承している部分があるが、ユーソニアン・ハウスでは内部・テラス・外部との接続性を高め、より内外を繋げ閉鎖的な住宅からの脱却を図っている。またキャンチレバー(片持ち梁)を用いた設計・建設方法を確立し、外部に突き出したテラスなどの計画方法を提案している。後にライトの住宅が模倣され、多くの住宅にライト風の建築様式を感じられるのは、このプレイリースタイルからユーソニアン・ハウスでの功績が大きいと考えられる。

 


【作品】
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ライト自邸と事務所 1889年 イリノイ州オークパーク

 

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ラーキンビル 1903年

 

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ロビー邸 1906年

 

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旧帝国ホテル本館 1921年 現存せず

 

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自由学園明日館(共同設計:遠藤新) 1926年 東京都豊島区

 

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カウフマン邸(落水荘) 1936年

 

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ジョンソンワックス社事務所棟 1939年

 

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グッゲンハイム美術館 1959年

 


参考図書:ライトの建築をフルカラーでまとめた作品集。写真の他にライトの言葉、パース、スケッチなどを併記してまとめてあるので一冊で作品のことを十分理解できると思います。最初に買う作品集としてはオススメの一冊です。

 


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