【写真】バンコク路上の暴力【ピューリッツァー賞】

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ニール・ウールビッチ(AP通信 “バンコク路上の暴力(Strike Lifeless Body of Leftist Student)” 1977年 ニュース速報部門

ベトナム戦争以降タイ政府は左傾化が進み、事態を深刻に見た右翼勢力はクーデターを画策した。1976年10月6日、武力勢力を後ろ盾にした右翼学生が左翼学生を襲撃しタマサード大学のキャンパスで流血事件が起きた。この事件は死者数名と負傷者数百名の大参事であった。
カメラマンのニール・ウールビッチはクーデターの取材の為、タマサード大学で写真を撮っていた。キャンパス内の襲撃事件が収まり、取材を終えたウールビッチは大学郊外でタクシーを探していると一角に集う学生たちの群れを見た。ウールビッチが近づくと、学生たちは気に吊るした2人の左翼学生の死体を取り囲んでいた。彼らは左翼学生を木に吊るし集団で暴行しているうちに彼らを殺してしまったのである。しかし彼らの異常だったのは、すでに死亡した左翼学生に対してイスや棒で暴行を繰り返し、周囲のギャラリーはその光景をみて楽しそうに笑っていたのである。この様子を見たウールビッチは写真を撮り、怒りの矛先が自分に向かいないうちにタクシーでオフィスに戻った。
この写真はウールビッチの戻ったAP通信の支社からアメリカへ送られ、全米の新聞に掲載された。後にタイ政府はこの写真のフィルムを没収したが、AP通信自体には手を出さず写真のデータは世界へ配信されることとなった。しかしタイ国内ではこの写真が報道されることはなかった。

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