アーウィン・ハヅラー（ダラス・タイムズ・ヘラルド紙）： “アメリカのカウボーイ（The American Cowboy）” 1980年 特集部門
カメラマンのアーウィン・ハグラーは写真記者にとっては運のいい境遇にいた。彼はダラス・タイムズ・ヘラルド紙の日曜版の担当をしていて、自ら記事の内容を提案できる立場にいた。彼は当時廃れようとしていたカウボーイ達の姿を記事にする為に動き出した。ハグラーは同行した記者と共にテキサスのパンハンドルへと取材に出かけた。彼は根気強く取材し、車で数週間に渡って滞在することを繰り返した。そこでカウボーイたちの生活をカメラに収めた。
カウボーイたちは朝食を食べた後に放牧場に向かい、数百頭の牛を相手にした。ハグラ―は馬に乗ることが出来なかったので、カウボーイたちを追いかけ、時には先回りして写真を撮り続けた。この撮影方法は効率的ではなかったが、より良い写真を撮ることを可能にしてくれたとハグラーは述べている。彼らを追いかける日々が続き、彼らとの友情も芽生えてくるとよりハグラーの存在は薄れていき、カウボーイの自然な姿を捉えることが出来た。
ハグラ―の写真は日曜版に掲載され、多くの反響を得た。そしてピューリッツァー賞を受賞するのだが、彼の写真は他のどの受賞写真とも似ていなかった。彼の作品以外の２０世紀の受賞写真は特定のニュースや歴史的事件を伝えていたが、彼の作品はそのどちらでもなかった。彼の作品はアメリカ人の開拓時代の象徴を取材し、カウボーイの生活を通してアメリカ人のアイデンティティが表現されていた。
