『静物:果物と野菜』 1630年
ルイーズ・モワイヨン(Louise Moillon。1610年 – 1696年)は、フランスの画家。静物画で知られる。
【概要】
ルイーズは、パリの画商の娘として生まれた。彼女の画才は幼い頃より発揮され、10歳の頃には作品が売れるほどの実力であった。その後、30歳で結婚するまでに生涯のほとんどの作品を制作し、現在まで残っている物は30点程度確認されている。
彼女が早熟であったにも関わらず作品数が少ない理由に結婚の事があげられる。30歳の時にカルヴァン派の画商と結婚したルイーズは、家事や育児に追われ作品制作のスピードが急激に下がったのである。またプロテスタントの家系に生まれたルイーズは生涯に渡って迫害などの被害に合い、投獄や財産の没収などの恐怖と戦っていた。このことが彼女の人生に大きな障害となり、満足に制作を続けられなかったのではないかとも思われる。
ルイーズの主な主題は静物画である。女性画家が静物画を得意とする場合は多くあるが彼女の場合も同じであった。これは当時、女性画家が満足な絵の教育や制作の機会を与えられなかった事も原因と考えられる。しかし、彼女の静物画は色彩が豊かであり、対象(特に果物が多い)の水々しさまで表現する力は当時の画家たちからも抜きん出た画力であるといえる。
【作品一覧】
【絵画データ】
1630年作
油彩・カンヴァス
53.3cm×71.3cm
収蔵場所 シカゴ美術館(アメリカ・シカゴ)
ルイーズの主な主題である野菜と果物。彼女の最大の特徴は、静物に対しての色使いにある。果物の赤・黄と野菜の緑の色彩が見事である。また光の感覚に敏感で、艶やかさや水々しさを描くのに長けている。
題材の描き方もさることながら、構図、静物の位置関係のバランスの良さも伺える。人物画の様な表情の表現がない代わりに、対象の置き方、色のバランスへの配慮とセンスがずば抜けている。写真でも成立するような美しい題材に彼女の画才が重なることで作品に深みが出ている。