アンナ・アンカー(Anna Ancher、1859年8月18日 – 1935年4月15日)は、デンマーク生まれの女性画家。
【概要】
アンナ・アンカーはデンマーク北部の漁港スカーゲンで生まれた。父は乾物屋を経営しており、小さなホテルと居酒屋を兼ねた店を出していた。この店は地方の風景画を描くためにやってきた画家たちの溜り場になっていて、アンナは幼いころから画家たちの話や制作風景を目にしていた。
アンナは若い頃から画家を目指していたが、21歳の時に店の常連のミハエル・アンカーと結婚した。ミハエルはアンナの才能を認めており、彼女の制作の手助けをしていたようで、この結婚が彼女にとっておおいにプラスになっていたようだ。
結婚を機にドイツ、ウィーン、オランダなどのヨーロッパ諸国を旅行し見識を広めていった。そして1888年からパリへ移りピュヴィス・ド・シャヴァンヌを師事し、画力を磨いた。この際にパリで活躍していた印象派の画家たちから影響を受けたようで、作風にも変化がみられる。
その後、地元スカーゲンに帰り夫と共に作品制作に励んだ。彼女の専らの題材は庶民やその生活風景であった。1927年に良き理解者であった夫を亡くし、アンナも1935年に故郷で亡くなった。
【作品一覧】
『厨房のメイド』
【絵画データ】
1883-86年作
油彩・カンヴァス
87.5cm×68.5cm
収蔵場所 ヒルシュプルング美術館(デンマーク・コペンハーゲン)
パリ滞在前の作品でスカーゲンの庶民の日常を描いている。アンナの作風は自然主義と印象派の混合したもので、自然な風景の中に印象派の画風が見え隠れする。この折衷様式が田舎の生活に感じる独特の穏やかさと儚さを表現している。また、右の扉が開いているのはオランダの室内画の影響が伺える。
『クレマチスのある室内』 1913年