『自画像』
マリア・アンナ・アンゲリカ・カタリーナ・カウフマン(Maria Anna Angelika/Angelica Katharina Kauffmann, 英語よみ:アンジェリカ・カウフマン、1741年10月30日 クール – 1807年11月5日 ローマ)は、スイス出身のオーストリア人新古典主義画家。
【概要】
アンゲリカはスランス画家ダヴィドとほぼ同時期の画家である。彼女の父も画家であったが、仕事を求め各国を旅していた。アンゲリカの才能は早くから開花し、10歳の頃には肖像画の依頼が来たほどであった。母が16歳で亡くなってから本格的に画家の道を歩むことになる。
アンゲリカは画家以外にも様々な分野で才能を発揮していた。頭脳は明晰で数か国語をマスターし、音楽の才能もあったという。その上、人の目を引くほどの美貌の持ち主であった。音楽の才能に関しては、音楽家になるか画家になるか迷うほどで、自身の作品「音楽と絵画の間でためらう自画像」にその葛藤を描くほどであった。
画家になってからも順調に名声を上げ、ロイヤルアカデミーの創設会員40人の中に選ばれる。ロイヤルアカデミーは通常は女人禁制であり、彼女の扱いは特別な物であった。その後、100年以上後まで女性会員は彼女一人であった。
順調な制作活動の中でイタリア人画家のツッキと結婚したがアンゲリカの制作意欲は衰えることがなかった。夫ツッキも自分の制作を制限し、アンゲリカの画材調達や作品管理を行い妻をアシストした。晩年はイギリスからイタリアへ移り住み、ローマで息を引き取った。
【絵画データ】
1782年作
シェイクスピア作の「テンペスト(嵐)」のワンシーンを描いた作品。テンペストの初演が1612年頃であるので、その後の再演の時に描いたものである。新古典主義の彼女にとってシェイクスピアの作品は格好の題材であり、新たな解釈を想起させる良い作品であったであろう。