『真珠の女』 作者:ジャン=パティスト・カミーユ・コロー
【絵画データ】
1868-70年頃作
油彩・カンヴァス
70cm×55cm
収蔵場所 ルーヴル美術館(フランス・パリ)
ダ・ヴィンチの『モナリザ』を模倣しながら、作者独自のモナリザ像を描き出した作品。本家モナリザの神秘性に対して、真珠の女は優しさと素朴さを醸し出している。そのタイトルの「真珠」とは、女の額にかかる装飾品とも、女の表情の比喩とも言われている。
コローは、制作が始まってから完成までの2年間は痛風で思うように動けなかった。よって戸外に出て風景画などのモチーフを探す旅にも出れず、内に籠るしかなかったのだ。本人の意思に反して、モチーフを人物にしたことでこの作品は生まれたが、かえって落ち着いた気品のある女性の像に近づけたのではないだろうか。