【写真】市庁舎前広場の旗【ピューリッツァー賞】

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スタンリー・フォアマン(ボストン・ヘラルド・アメリカン紙 “市庁舎前広場の旗(The Soiling of Old Glory)” 1977年 ニュース速報部門

1976年5月14日、ボストン市庁舎広場で事件が発生した。強制バス通学から続いたトラブルが解決することはなく、人種統合に反発する人の動きは活発であった。この日も市庁舎広場で抗議デモが行われて、学生たちが強制バス通学反対のスローガンを掲げていた。彼らの主張は市議会の議場が閉鎖されたことで行き場を失い、学生たちは暴徒化していた。
カメラマンのスタンリー・フォアマンはいつものごとく警察無線で事件を聞きつけ市庁舎広場に駆け付け、暴徒化した学生たちを取材した。その時、事態を知らず市庁舎に入ろうと通りかかった黒人弁護士シアドア・ランズマークを発見した。学生たちもすぐにランズマークに気付き、行き場を失った黒人への憎悪を彼にぶつけたのである。20人程度の学生がランズマークを囲み、あるものが彼を抑え、あるものが近くに刺さっていた星条旗で攻撃したのである。この瞬間を逃さなかったフォアマンはカメラのシャッターを押し、決定的瞬間をフィルムに収めた。
学生たちはすぐに警察に追い返されたが、ランズマークは鼻を骨折し顔を切る怪我をした。この写真はアメリカ全土に配信されたが、皮肉なことに愛国心を示した学生たちがそのシンボルである星条旗で暴挙に出るという悲しい結末を伝えることとなった。

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